アトピー児の子育て【子供を穏やかな愛情で包む大切さを教わる】

アトピーの子供を育てていると、アトピーそのものは死に至る病ではないにもかかわらず、この世の不幸とか重荷とかが自分の肩にどっしりと乗っかっている気持ちに陥ることが時々あります。

特に子供のアトピーは顔に出やすく、顔が腫れてただれているところなどあると、「かわいそう」という周りの反応が手に取るようにわかるため、気分が滅入ることがしばしばあります。

ダウン症の子供と出会う

転居に伴い、新しい幼稚園に三男が通いはじめ、三男の同級生の園児の弟にダウン症の子供がいることに気が付きました。その前に通っていた保育園のママ友の子供が自閉症でしたが、自閉症の子供は癖のある子供に見えるだけで、自閉症と言わなければ伝わりにくいもどかしさがあるように見られました。

それとは違い、ダウン症の場合、何も言わなくても、ダウン症についてほとんど何も知らなくても、外見からダウン症ということはわかります。
親の顔はみんな違うのに、似た顔になってしまう、言わなくても伝わってしまうもどかしさもあるのではないかと思います。

お姉さんは、うちの子供と同い年に見えないほどしっかりした、それでいて押しの強くない子供でした。お母さんは、穏やかで、芯がしっかりしていて、それでいていつも笑顔の絶えない優しい雰囲気でした。

子供が園を卒業してからほとんど会うこともありませんでしたが、子供もしっかりと記憶しています。「いつも笑顔の優しい人」と言っていました。

男の子は、お母さんと同じように、とても穏やかな子供でした。家族で心から大切に思って、大事に育てているのが外から見ていてもよく分かりました。人に言えない悩みやつらさもたくさんあるでしょうが、みじんも見せず、穏やかなやさしさに包まれていました。

自分の子育ての姿勢をかえりみて、「はずかしい！」と心の底から思いました。死に至る病でもなく、病状が治らないわけでもないくせに、何を不幸ぶっているのかと、何をきりきりしているのかと、私はなんて嫌な親なんだと、心底思いました。

何かにつけてどんどんと手を出すし、前に出る私と違い、彼女はいつも控えめに後ろに下がっていて、優しく見守っていました。彼女については、もう少し前に出てもいいのにといつも思っていましたが、私自身はもう少し下がることを覚える必要があると思いました。

のちに、この幼稚園での経験を踏まえ、担任の先生だった長谷川孝子先生とともに、新読者社より、『ダウン症をもつ子の母親と担任保育者がかわした1095日の記録「つーちゃんの連絡帳」』が出版され、彼女の胸の内もいくらか知る機会を得ることができました。

万事控えめながら、やはりスケールの大きい人だと思いました。
彼女に出会えたことで、私自身、子供の病気についても接し方についてもずいぶんと変わったと思います。

はやすぎるさようなら

けさ、彼女の訃報を聞きました。私よりずっと若いのに、まだまだしたいこともたくさんあっただろうに、残念でなりません。控えめで穏やかな笑顔が頭をよぎります。私は、病気の子供を愛情で包むやさしさの大切さを彼女に教わりました。ご冥福を祈ります。