除去食をしているとき【本物そっくりフェイク料理】力作なのに喜んでもらえないワケ

何らかの食物アレルギーがあるため除去食を行っている子供に合わせて、日々のメニューは対応食が中心になっています。

ですが、他の子どもとの兼ね合いや、夫のリクエストもあることがあり、そのままではその子がひとり食べられない状況におちいってしまいます。
そのため、食物アレルギーがある子に対してはアレルゲンを抜きながら見た目はそっくりのフェイク料理を作り、他の家族にはリクエスト料理を作ります。

手間は二倍以上かかるけれど

見た目はそっくりのフェイク料理は、使える素材のみを使っているので、ある程度の創意と工夫が必要です。
また、見た目はそっくりでも、そのままでは味はかけ離れているため、食べられる味付けにするのにもやはり一工夫が必要になってきます。

除去の項目が増えれば増えるほどハードルが高くなるので、自分の料理の腕に対する挑戦のような気持になるため、手間が二倍以上かかるにもかかわらず、創作意欲はかなりＵＰします。

調理上の注意点は、一番最初にフェイク料理を作ることです。
まな板や包丁に使えない素材の成分が付着することがないようにするためにも、まずはフェイク料理にかかります。

かつて、卵乳製品小麦粉を使わずにフェイク・クリームグラタンを作ったとき、あまりの出来栄えのすばらしさにうっとりしたことがあります。

自信作。でも進まない箸

そんな自信作。夫や次男ががつがつ食べています。もちろん、彼らのグラタンは普通のグラタン。フェイクは長男のもののみ。
本物そっくりのみごとな出来栄えです。でも、長男は浮かない顔。くちゃくちゃスプーンでつついてみるものの、なかなか口には入れようとしません。

「これ、食べてほんとにだいじょうぶ？」と言い出しました。

白っぽく出来上がったため、彼の中の「白＝危険が多い」という、日々の失敗からの学習と本能に抵触するようでした。

本当に使っていないので、「卵も牛乳も小麦粉も使ってないよ」ときっぱり伝えますが、「また、だましてるんじゃないの？」という疑いのまなざしが返ってきました。
本当に使っていないけれど、力説すればするほど疑われそうです。

結局、長男は二口三口食べた後、「もういらない」とごちそうさましてしまいました。ものすごく時間をかけて作っただけに、とても悲しいし残念でした。
彼が20を過ぎても克明に覚えているので、ものすごくくやしかったのは間違いありません。

見た目がそっくりすぎるのが問題

フェイク料理も、うまく作りすぎると危険な雰囲気が漂ってしまうようです。

みなと同じものを食べさせたいと思うものですが、日常同じものを食べている場合、みんなと同じでないといやだと思う気持ちも弱いのかもしれません。
除去食は奥が深く、むずかしいと思います。

育児は食事造りも含めて手探りの事が多いもの。ましてや使えない食材が多くある場合は迷いや悩みも深くなります。

食事は楽しいという気持ちを損なうことなく、「お母さんのこれがすき！」をたくさん作ってあげられたらと思います。それが一番むずかしいことなんですけどね。