アトピーがつらいとき。不登校という選択肢があってもいいのでは

顔や頭、指先など、誰の目にも振れやすいところの皮膚の状態が悪化して、ひどい状態になっている時、本当に気が重くなります。
よくなるのは時間がかかるけれど、悪くなる方は瞬間風速的で、あっという間に悪くなってしまうことがたびたびあり、「この前まで調子が良かったのになぁ」と思うと、気が滅入ってきてしまいます。

「アトピーがうつる」と思っている人も未だにいるし、「キモイ」という方はいい気になっているのでしょうが、自分発病したとき、どんな顔をするのか見てみたいなと思ったりもします。

学校や保育園でいじめられないか心配

子どもがアトピーの場合、学校や保育園に行くと、そこでいじめられないかとても心配になります。四六時中見張っていることもできず、不安ばかりが募ります。
昨今、不登校問題も多くみられ、わが子がいつ「学校に行きたくない」と言い出すか、非常に不安になります。

三男が高校を卒業した時、私は「ああ、これで私は子どもの不登校にもう悩まなくていい！」ということが一番うれしいことでした。
子どもが三人とも、学校に行きたくないと言わないまま高校まで卒業してくれたことは、とてもとてもラッキーなことだったと思っています。

特に長男は誰が見てもアトピーとわかるアトピックスキンが始終顔に出ていたので、いついじめられるか、いつ学校に行きたくないというか、心配がつきませんでした。

気が付いた時は、チキンの心臓の長男は学校で偉そうに悪ぶっていて、「しつけが行き届きませんで申し訳ありません」と頭を下げることの方が多い問題児になっていました。
おとなしい子供はどうしても目を付けられやすいので、自分を守るためにもおとなしくない子供になったのではないかと思います。

そのおかげで方々には迷惑をかけたのかもしれませんが、学校に行きたくないと言わずに済み、不登校に悩まずに済んだのではないかと思います。

やられたらやり返すぐらいでないと生きていけない

三男が高校時代、「やられたらやり返すぐらいでないと、なめられて生きていけなくなる」とぼやいていたことがあります。
高校生になると、先生の目の届くようなところでは何もやらない反面、やることがえげつなくエスカレートしており、足をすくわれることも多かったのでしょう。

卒業式の時、息子が持ち帰った体育館シューズは他人の名前がマジックで書かれていました。
入学して半年くらいで体育館シューズがなくなり、28cmの体育館シューズが使える人もそう多くはないので、じきに還ってくるだろうと思っていたら何も言わなくなったので、戻ってきたのだと思っていたのですが、「よその人のを盗ったのでは？」と不安になりました。

息子に聞いたところ、「上級生が俺のことを生意気だと思ったらしくて隠していて、さらに見つかりにくくなるように、適当な奴の名前を書いておいたんで、取り返してきた」と言いました。

下級生の体育館シューズを盗る上級生というのも理解できないし、名前が妙に汚いと思ったら適当な名前だというし、そもそもの発端は「生意気」から来ているわけです。
男子高校生の日常生活も、楽ではないのかもしれないとしみじみ思いました。
どうやってつき止めて取り戻せたのかよくわかりませんが、おそらくシューズが2足に増えた子どもも戸惑ったのでしょう。

「俺の傘をさして歩いている奴がいたから取り上げてどついてやった」などと息巻いていたりもすることもあったのに、それでも荒れていない学校だというので、のほほんと田舎で育った前の時代の人間には理解しずらい世界だと思います。

問題はあっても不登校にならずに済んだけれど

自分の子どもたちが、良識ある学校生活を送ってきたのかそうでないのかは定かではありませんが、不登校にならずに済んだのはよかったと思っています。

でももし、子供が「学校に行きたくない」と言い出したら、私は子供に「行かなくていい」と言おうと常々思っていました。
子どもであっても、学校に行きたくないと言い出すのは並大抵のことではないと思います。
それでも行きたくないほどつらいのであれば、行かないでいいと言ってやりたいと思っていました。

言わずに済んだからそんなことを言うんだと思うかもしれませんが、不幸にして死を選んでしまう子どもも多くいます。
大切に、夫と二人で一生懸命育ててきて、どの子供も大切なわが子です。私より先にいなくなってほしい子などいません。

有名大学に行くよりも、高給取りになるよりも、幸せに暮らしてくれる方が一番うれしいと思います。
学校に行かないことで精神的な負担がなくなるのなら、行かなくたっていいと思います。

もちろんわが子が優秀な学業成績を収めたらうれしいでしょうし、高給取りになったらうれしいし自慢でしょうが、そんな風にならなくても、仕事に熱を入れられて、食べていけて、思いつめるほどつらいことがないなら、それで十分ではないかと思います。

アトピーはつらいことですが、そのつらいことを経験したからこそ、人としての痛みがわかる人にに育つのだと思います。
つらくても、頑張ってほしいし、頑張っていきたいと思います。死を選ぶよりも、学校に行かないことを選んでくれた方がはるかにいいと思います。