「俺がケーキを受け入れないんじゃない、ケーキが俺を受け入れない」息子の気持ち

アレルギー体質が三人息子の中で最も強く、母乳を飲んでもアレルギーを起こした三男（17）は、今は加熱してあれば卵も牛乳もアレルギーを起こさず食べられますが、少しでも火通りが悪いとすぐに具合が悪くなってしまうので、食べる卵といえばウズラの卵のゆで卵かおでんの卵のみ、食べる牛乳といえばグラタンかクリームシチューが限界です。

洋菓子はほとんど食べない

たとえ勧めたとしてもほとんど全く食べようとしないのが洋菓子です。
ゼリーぐらいしか喜んで食べません。ほかの兄弟の誕生ケーキであっても、1㎝幅が限界で、それもほとんど食べません。
上に載っているイチゴをひたすら集めて食べるのが関の山です。

「俺がケーキを受け入れないんじゃない、ケーキが俺を受け入れない」というセリフは、1㎝のケーキを残す息子を見て「まだ食べられないのか」とがっかりしている私を見て、憤慨して出た言葉です。

学生時代から、ケーキを作るのが好きだったので、子どもができたらたくさん作ってあげたいと思っていたのに、揃いも揃ってアレルギー体質なので、ケーキはおろか、晩御飯に茶碗蒸しが並んだのすらいつの事か記憶にないほど。
作るケーキはもっぱら贈答用です。

最近、ほぼ三男と二人暮らしの状態なので、ケーキもパンもほとんど作らなくなってしまいました。小麦粉にもかつてアレルギーを起こしていたので、三男はパンも好きではありません。
作り甲斐が全くないので、面倒くさくなって、市販たいしておいしくもないお菓子を買ってきて自分一人で寂しく食べるようになりました。

三男はフェミニスト？

一人でシュークリームを食べていた時、三男がじっと私を見つめていたかとおもうと、「アトピーって遺伝するの？」と聞いてきました。

「アレルギー体質だからね、体質は遺伝するね。アトピーの人の子どもが必ずしもアトピーとは限らないけれど、同じような体質の人が生まれやすいね」というと、「そうか」としょぼんとしています。

「男だけじゃなくて女の子にも遺伝するの？」と合わせて聞いてきたので、「男女差で遺伝しやすさが変わるとは聞いたことがないね」というと、さらにしょぼんとしています。

私が怪訝な顔をしていると、「いやね、女の子はおかし、すきだから、食べられないとかわいそうだと思って」さらに私がぱちくりとしていると、私の食べているシュークリームを指さして、「女の子がそういうもの食べてると本当にうれしそうだから、食べられないとかわいそうだなと思ってさ。だってかわいいじゃないか、おいしそうに食べてるとこ」

照れる息子を見つめながら、そんな風に周りの女の子を見ていたのかとちょっと驚きました。
自分は全く食べたいと思わないものでも、食べている姿が見たい、男心はよくわからないと思いつつ、まあいいか、と思いました。