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食べられないと食べないは別物。食物アレルギーVS好き嫌い

1才にならないうちから市販の栗かの子や羊羹などを食べている子供のお母さんが、「うちの子はアレルギーがある。ベビー用のおせんべいが食べられない。ジャガイモが原料だからジャガイモにアレルギーがある。米もダメ。米も食べられない」と言っていたことがありました。

「だって食べないんだもん」と彼女が主張していましたが、夫が「砂糖をかければ食うだろ!」と言い放ったように、おそらく砂糖を食べたらあの子は食べたのではないかと思います。
まさに砂糖漬けの人生のスタートです。馬鹿じゃないのか、アトピー児の親を馬鹿にしているのかと思ったのですが、彼女は彼女なりに真剣だったのだろうと今になって思えば考えられます。

食べないのと食べられないのは別次元

アレルギーのある子供が、アレルギーを起こす食べ物を食べられないわけではありません。食べようとすれば食べることはできます。
ただし、食べたら大量嘔吐することもあるし、呼吸困難に陥ることもあるし、下痢や顔が腫れるといった症状に見舞われます。

全く合わない食べ物は大量には食べられません。瞬時に具合が悪くなるので一口が限度です。
そして、一度死にそうな目にあった子供は、同じことを繰り返すのが怖いので食べようとしなくなります。

これに対して、好きではないから食べない場合は、味が気に入らないとか、においが気に入らないとか様々な理由があって、食べたとしても体の調子は悪くはなりませんが、食べようとしない食べ物になります。

子どもだろうとアトピーだろうとそうでなかろうと、食べたくないものは食べません。
特にアトピーの子供は、食べて具合が悪くなるくらいなら食べずにいておなかをすかせていた方がはるかにましだと思う子が多く、合わないものには見向きもしません。

好き嫌いが激しくて、例えばピーマンが嫌いだからピーマンには見向きもしないのと趣が違います。頑固な子供は嫌いな食べ物を食べるくらいなら口を開けませんが、他の食べられるものを探したりします。
アトピー児は往々にして諦めが早いので、それしかないならいいや、という感じにあきらめてしまいます。

学校生活など共同生活をしていると、その傾向は特に顕著に表れるように思います。
フルーツにアレルギーのある子供が、部活中の差し入れのカットフルーツを見て逃げ出す姿を見て、うちの子どもが食べられないものを見たときと反応が同じだなと思いました。

差し入れのアイスをじっと見つめて、シャーベットではないことに悶々と悩んで、結局手を付けない子供もいました。
「おばちゃんが用意したなら絶対シャーベットを何割か混ぜとくんだけど、ごめんね」と、心の中で詫びるしかありません。彼らは特別扱いされるのを嫌います。

一人だけ違うものを用意されると、不用意な何でも食べられる子が必ず反応します。あの子だけずるい、特別扱いだという顔をします。
「同じものが食べられないんだからしょうがないだろう」と言いたいのですが、本人もわかっていても、やっぱりずるいと感じているようです。

それをアトピーの子供は敏感に感じ取っていて、それもまた手に取るように伝わってくるのがつらいと思います。
自分の子どももアトピーだから余計気が付いてしまうのでしょうが、見ていて切ないですね。

アレルギー体質は人によって違うから

アレルギー体質の強さも食べられる許容限度も人によって違うので、親が用意する以外に、子どもにちょうど食べられて、他の子どものものと同じように見えるものを用意するのは難しくなります。
見た目そっくりに用意したとしても、何ともない子の方がその微妙な違いに気が付きます。

小学校の高学年以上になると、これを用意いしてくれと頼むのも難しく、かといって、うちの子どもにはこれを与えてくださいと持っていくのも気が引けて、「食べられない場合は食べないので、そのまま同じにしておいてください。自分で判断します。自分で判断できなくならないように、食べるよう強要だけはしないでください。万一具合が悪くなったらすぐに駆け付けるのでおかしいと思ったらすぐ連絡してください」ということは再三学校側に伝えました。

ただし、すぐ駆け付けると言っても、修学旅行先とか、バス遠足の行き先とか、山登りのときの山のてっぺんとか、すぐには無理です。この場合はとても神経を使いました。
抗アレルギー剤は必ず持たせていました。長男は喘息もあったので、喘息の治療セットをフルで、いつでも出せるように巾着に入れて取り出しやすいところにセットしました。

長男は喘息で入院が必要なほどの発作を起こすほど重度ではなかったので、この程度の対応で済ませられましたが、重度の場合はついていくしかなかったかも知れません。

食べないものは食べない

固すぎるもの、においがきつい物、嫌いなもの、これらは一律食べようとはしません。アトピーであるなし関係ありません。

味が嫌いなものは一口は食べるでしょうか。一口食べて同じようにもう食べないにしても、アレルギーがある食べ物だった場合は具合が悪くなります。
程度が強ければ強いほど、タイムラグなしで異常事態がマックスで発生します。程度が弱いと食べないっきり1時間くらいしてから吐く、というようなことも起こります。

単に嫌いな場合は単に食べないだけで何ともなりません。この見極めはとても難しいかもしれませんが、身近でずっと観察していればわかるかと思います。
学校関係者にこの見極めをしろという方が無理なので、学校では好き嫌いで残すことがあるかもしれませんが、不問に帰してくれるように頼んでいました。誤飲事故より好き嫌いのほうがはるかにましだからです。

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