【共働きについて考える】アトピー児の子育てと共働きについて

保育園に入れない待機児童の問題がクロースアップされるたびに、必ず耳にする言葉の一つに、「共働きでないと生活できない」というセリフがあります。
ひどい人になると、「あんたの稼ぎが少ないから、私が働かなくちゃいけないし、疲れてるんだよ！」というセリフまで。

殺伐とした状態のようで、聞いているだけでつらくなってきます。

保育園に入れたら共働きしたら本当にうるおうのか

保育園に子供が入れたら、共働きが即できて、本当に家庭内が潤うのでしょうか。

フルタイムでしっかりお母さんも働くようになると、子供は早朝から夜遅くまで保育園に行きっぱなしで、子育てのほとんどを保育園に代替わりしてもらっています。
ある程度の年齢になってくると友達とのかかわりあいも必要になってくるので、保育園なり幼稚園なりに通うのはとても良いことだと思います。

ですが、３歳未満の小さい子供を朝から晩まで預けてしまうと、母子が交わえる時間はわずかになってしまい、子供の成長の節々の出来事を、目で見て肌で感じるのではなく、連絡帳で知る程度になってしまいます。
職種によっては収入はUPしますが、保育料もかかり、心身に負担もかかり、親子関係も希薄になってしまいます。

「この職を今手放したら二度とこれに戻ることはできない」というセリフもよく聞きます。
それももっともな話です。収入もやりがいもすべて手放すことになるのは嫌だ、という気持ちはよくわかります。

私自身はキャリアを捨て去りましたが、まったく後悔していません。
「あんたの稼ぎが少ないから」とは思ったことはありませんが、やめた当初、私の方が夫より高収入でした。

同じ専門職に二度とつけないのはわかっていたし、長男が1歳になったら復職する予定でいましたが、アトピーの重いこの子を人に任せて仕事に打ち込むことなどできるわけがないと思ってやめました。

以来、我が家は収入的にはとても潤っているとは言えなかったし、きゅうきゅうしていましたが、アトピーという慢性的な訳の分からない病気に付きまとわれていながらも、精神的には潤っていたように思います。

もちろん、子供のやることは、かわいいことは一日のうちでごくわずかなので、怒ることも煮詰まることもつらいこともたくさんありました。
でも、どの子供も「自分は手をかけて育ててもらった」という思いはあるようなので、少なくとも「いらないからほったらかされた」という思いは抱かなくて済んだので良かったと思っています。

出を制する貧乏なし

収入が少なくて貧乏だから、不幸だとは言い切れないと思います。
ディズニーランドに行けなくても、おしゃれなブランド物を何個も持っていなくても、幸せはあると思います。

「〇〇をもっていないから子供がいじめられる」と思うかもしれませんが、持っていない子をいじめるようなろくでなしに、わが子を育てたくないと私は思います。
持っているものが多くても、中身がカスカスだったら意味がありません。

子供が小さいころ、家でできる、たいして収入が多くなくても時間をうまくやりくりしたらできる仕事を探しました。
種類は多くないし収入も限られますが、わずかでも家計にプラスになり、家族に負担をかけずにいられる自分がいいと思っていました。

呪文のように、「出を制する貧乏なし」と心の中で唱えて、節約ややりくりにいそしみました。収入が少なければ、支出を減らす努力が一番大事なのではないでしょうか。

女性の社会進出を阻むわけではない

こんなことをいうと、女性の社会進出を阻んでいるかのように思われますが、在宅でもできる仕事を探すことは、社会進出を阻むよりも新たな社会進出のやり方ではないかと思います。

高収入だけが幸せなのではないと思います。主婦と、ワーキングウーマンとお母さん、3足の草鞋を履くのは並大抵ではありません。
そのどれもをある程度以上にできない以上、どれかをセーブした方が心身疲れ切らないで済むと思います。

長男が高校生になったとき、一人でマクドナルドに入ったことがなく、生涯でマクドナルド経験が10回もなかったことから、「箱入り息子」と言われました。
コンビニのおにぎりの食べ方もわかりませんでした。

これらを食べる必要性がなかった彼は、不幸なのでしょうか。貧乏くさいのでしょうか。
いつも、私が作った彼のお粗末なお弁当に冷凍食品が入っていないため、同級生にうらやましがられていたことから、彼の方が本当は幸せなのではないかと思います。

子供がある程度大きくなってからなら、もっと社会に進出することも可能です。
もちろん、元の専門的な仕事に戻れる可能性はかなり低いでしょう。でも、専門的な仕事ができるような人は、他にも選択肢をたくさん持っているように思います。

医師にカムバックするとか、弁護士にカムバックするとかは難しく、そうなるために払ってきた努力から考えるともったいなすぎるため、何らかの方法で継続していった方がよいと思います。
ですがそうでない場合、これから始めても輝ける、それまで蓄積してきたノウハウを生かして始められることを、改めてスタートすることでもいいのではないかと思います。