アトピーに効く漢方の選び方と根拠

アトピー性皮膚炎の患者は年々増えているものの、根治するのは難しい病気の一つでもあります。

アトピー患者は、ただ皮膚のかゆみがあるだけではなく、気管支喘息や便秘といった症状を併発していることが多いため、複合的な治療が求められます。

東洋医学的にアトピー治療

西洋学的治療では、今発生している症状を治療しますが、東洋医学的治療では、体全体のことを踏まえて治療が行われます。

つまり、体質を改善し、根となる毒素を取り除くことで、根本的な治療を目指します。

漢方を選ぶ時には、まず皮膚の状態を確かめます。

皮膚がかさつき、粉をふいているような状態であるか、じくじくとしている状態なのか、肌の色は赤みがあるのか黒ずんでいるのかなどが判断材料となります。

その上で、免疫力など他に足りないものを補い、自分の体質に合った漢方が処方されます。

カサカサした乾燥タイプの皮膚の症状には、温清飲（うんせいいん）と十味敗毒湯（じゅうみはいどくとう） がよく使われます。

温清飲には、乾燥を改善する熱性の四物湯（しもつとう）と炎症を鎮静する冷性の黄連解毒湯（おうれんげどくとう）の両方が含まれています。

漢方の陰性と陽性の組み合わせが有効！？

東洋医学的に見ると、アトピーの症状は表面は熱を持っているけど、内側は冷えています。

体が冷えると体は陰性に傾きますが、イライラしたりストレスが溜まると陽性のエネルギーも増えます。

この陰性と陽性は互いに補う関係ではなく、相反する関係のため、冷えと熱が同時に発生するのです。

そのため、血のめぐりを改善することで皮膚の乾燥や色素沈着を防ぐ四物湯と熱を冷ます黄連解毒湯の組み合わせはアトピー全般に有効です。

十味敗毒湯は、冬に悪化するタイプのカサついた肌に適しています。

一方、じくじくしたタイプの皮膚の症状には、消風散（しょうふうさん）や越婢加朮湯（えっぴかじゅつとう）などが処方されます。

自己判断せず専門家に処方してもらおう

冷えからくる水毒は、アレルギーの原因になりますが、水分が多いタイプの人は夏に水分を溜めこんでしまう傾向があるため、分泌物が多く出て症状が悪化します。

消風散はそのような症状に効果があり、湿疹やじんましんといった強いかゆみにも対処します。

ただ、消風散を飲むと症状が悪化することがありますので、好転反応によるものかどうかの判断には専門知識が必要とされます。

越婢加朮湯が有効なのは、水毒によって皮膚が腫れている時です。

毒となる水分を取り除き、顔や瞼の腫れとかゆみを鎮めます。

漢方は自分に合ったものを服用すると高い効果が期待できます。

ですので、自己判断はせず、漢方を専門とする病院や薬局で適したものを処方してもらうことをおすすめします。