子供のアトピーが悪いとき【一生懸命はよくない】お気楽のすすめ

三男を妊娠しとき、長男のアトピーは悪化の一途をたどっていて、家じゅうが暗く、殺伐としていました。
次男も小さいにもかかわらず、母親に全く余裕がないことを感じ取っていたのか、おとなしい手のかからない子になっていました。

なぜよくならないのか、なぜこんなに悪いのか、始終考えていたと思います。
そんな中で、また子供が新たに増えるのは、しかも、その子供がアトピーではない確率が低いのに、生んで大丈夫か？と夫がとても心配していました。

「顔つぶれても輝いて」を読んで、生んでちゃんと育てると誓う

そのころNiftyのアトピーについて語り合うフォーラムで、江崎ひろこ著「顔つぶれても輝いて－ステロイド軟膏訴訟６年の記録」が紹介されていて、取り寄せて読みました。

彼女はいわゆる成人アトピーで、ステロイド剤もあまり強いものを使っておらず、私が考えても使用期間が短いにもかかわらず、深刻なダメージを受けていました。
内容はアトピー児の育児とは全く関係ありません。周りの無理解に苦しみ、難しい医療訴訟に取り組み、戦ってきた経過が記されています。

自分のことのように悔しくて、ぽろぽろ泣いて、涙を拭いたとき、三男を生んでしっかり育てよう、アトピーがなんだ！長男のために集めた、「あの時こうしていればよかったのか！」と後で知った数々の机上の空論を、三男でしっかり実践して、実践論に変えてやる！と心に誓いました。

三男はあらゆる点で規格外・想定外

三男は、様々な点で規格外であり、想定外でした。

まず、アレルギー体質が想定以上に強く、私以外の慣れていないお母さんだったら、長男と順番が違っていたら死んでいたかもしれないと思わざるを得ないアレルギー体質の強さ。

次に、小さいくせに次男はちょろいと生後間もなく認識したのか、次男の食べ物をとって死にかけたり、次男のおもちゃを取り上げてそれで次男を殴ったり。
何をするのかわからない超危険人物。もっぱらターゲットは次男。

極め付けが、目的を達成するためには手段を選ばず、即実行する決断力と実行力のつよさ。

子供とて侮れず、目も離せず、そして三男のためのアレルギー対策は多岐にわたり、多少何を食べても悪化の要因にはならないところまで成長している長男のケアが、ある程度手を抜かざるを得ない状況に。

おのずと長男の肌の状態を気遣える頻度が激減しました。その結果、長男がとんでもない状態に陥ったかというと、逆に、良い方向に向いてきているように思いました。

三人は両手ではつかみきれない・抑えきれない

子供が二人までの時は、がっちり両手でホールドすることも可能でしたが、三男がちょろちょろと自分の足でうろつけるようになると、我が家の落ち着きのない子供たちは、どこへ行っても一気に三人で三方向に駆け出すというあり得ない暴挙に出るようになりました。

迷子案内のお世話になることはしばしば。三男など、保護されてさらに逃げ出そうとしているところへ迎えに行くことも。
一人ではもちろん、夫婦二人でも面倒が見切れない状態。

私の辞書から「ちゃんと面倒をみる」というワードがいつの間にやらなくなっていました。
一生懸命やっていても、うまくいかないからです。

できる範囲でぼちぼちと、がベスト

長男のアトピーが悪いとき、私は本当に余裕がありませんでした。長男からなるべく目を離さないようにして、皮膚の状態に一喜一憂していました。
母親が余裕がないとき、子供自身も耐えている部分があったのではないかと思います。良かれと思ってやっていても、子供をがんじがらめにしているところがあり、それがまた、悪化の元を作っていたのではないかと思います。

三男が我が家にやってきて、両手で抑えきれなくなったのは、最高だったとしみじみ思いました。どうやってもちゃんとできないから、初めからちゃんとやろうとしないので、心に余裕ができます。
できる範囲でぼちぼちやればいい、その心の余裕が子供を開放するのだと思います。

てんやわんやの毎日でしたが、あのころから、家のことが楽しく思えてきたように思います。母親に余裕があれば、子供にも余裕が生まれるのでしょう。
一生懸命やることも大切ですが、やりすぎないこと、適度な距離を作ることは、なくしてはいけないことなのだと思います。

三人とも巣立ってみて

三人息子が三人とも巣立ってみて、できる範囲ですが、それなりに人として生きていけるだけのノウハウを伝えられたのではないかと思っています。

たまに会うと、長男の肌の状態が気になるものの、食生活があまりにもお粗末だから仕方ないと思い、あきらめもつきます。
ここぞとばかりに、背中に薬を塗ってやると喜んでいるので、「久しぶりのスキンシップだな」と思いつつ、何も言わないでニコニコするようにしています。

生卵・生乳が全くダメな三男は、「初めてコーヒー、コンビニで買ってさ、砂糖を入れて飲んだんだけどねぇ」と言いつつ、とほほな顔をしていました。
見ていたお友達が、「大人の階段上るのって、たいへんだね」って言ったとか。

次男はいくら言っても万年床を作って小汚い生活を満喫。
アトピーの兄弟を気遣って、掃除が嫌いなのに清潔を心掛けていたのを、自分のスペースには適用しないことを誓ったようです。

三人とももう大きいし、いつも見ていられるわけではないので、距離は昔に比べたらものすごく開きましたが、これでよかったんだろうなと思います。