いつも調子が悪いわけではないから【誤解されるアレルギー疾患】

アトピーであっても、年がら年中顔がパンパンに腫れているわけではないし、食物アレルギーがあっても、そのアレルギーのある食べ物を一生涯食べられないケースもあれば、調子が良ければ食べられるケース、頻繁に食べなければなんともないケース、普段はなんともなくても調子が悪い時には食べたら具合が悪くなるケースまで、人により、ものにより、様々に症状が異なります。

近所の子どもの喘息の発作に出会った時のこと

長男（21）が、まだ2才にならなかった頃。近所の小学一年生の男の子が、公園で行き合うと時々遊んでくれました。

ひとりはちょっと華奢で小さめの舌足らずでよく喋るAくん。喘息の持病がありました。もうひとりは体格がよくて人懐っこいけれどじっと考えこむことが多いBくん。

公園で長男が遊んでいたら、学校がお休みだったらしく、二人がやってきて息子を遊ばせてくれました。二人が長男はとても好きだったので長男は少しハイテンションに。Aくんは今日も絶好調でよくしゃべります。

Aくん、長男、Bくんの順に滑り台をキャーキャー言いながら滑り始め、何度目かのAくんの番になったとき、Aくんが突然滑り台のてっぺんに座ったまま、微動だにしなくなりました。
顔がものすごく硬い。事情の分からない長男が早くしろと言わんばかりに後ろからどんどん押しても固まったままです。

この当時は見たことがなかったけれど、「喘息の発作にちがいない！」と思いました。
「やめなさい！」と長男を止めてから、一番後ろできょとんとしているBくんに、「多分喘息の発作だと思うから、おかあさんを呼んできてあげて」とたのみ、すぐさまBくんが呼びに行ってくれました。

そのまま5分もしないうちにAくんのお母さんが来てくれて、「だいじょうぶ、吸入する？」とAくんに話しかけ、Aくんは小さく頷いて滑り台をゆっくりおりて帰ってしまいました。顔色は真っ青ということはなかったのですが、おしゃべりなAくんがずっと無言でした。

アレルギーがない人には理解が難しい

長男は、なにか大変なことが起きたらしいと、小さいながらも思ったらしく、おとなしくしていました。Bくんはじっと去っていくAくんを見つめていました。私がBくんに、「迎えに行ってきてくれて、ありがとうね」と話すと、Bくんは私をじーっと見つめてから、ぽつりと、「やっぱりおれにはわからない」と言いました。

「走っちゃいけないって言われてるけど、元気なやつだから、走っちゃうことあるし、なんともなかったりするし、でも、昨日遊んだのに、今日はいなくて、入院していたりする。退院してきて、元気が無いかもしんないって、心配していたら、めちゃめちゃ元気だったりする。」

核心をついていると思いました。「いつでもずーっと同じ調子で悪いわけじゃないんだよ、調子のいい日も悪い日もあるんだよ」というと、「やりたくないからサボってるみたいに見える時もあるし、さっきみたいに悪そうなときもあるから、わけわかんないよ、おれ」

これは、喘息にかぎらず、アトピーにも言えることだと思いました。
調子に波があるから、物によっては食べられるときとそうでない時があったりします。
常時食べられないそばと違って、卵や牛乳なんかはまさにそれ。

そして、Bくんの言葉は、アレルギーについて知らない人が抱える疑問の核心部分だと思いました。

体調の良し悪しがダイレクトに現れるアレルギー疾患

アトピーも喘息も、調子の善し悪しがダイレクトに症状に現れ、また、もともと人より小さめのアレルゲンに対するキャパシティーが調子の善し悪しで更に小さくなる時もある、アレルギー疾患の人が身近にいるとよく知っていることがらが、アレルギーに接することなくきた人には特にわかりにくいように思います。

調子が悪いというと、サボろうとしているとか、大げさに騒いでいるのではとか、思われがちです。

風邪などとちがって、良くなってきたら、そのまま完治とはいかない、一生涯上手に付き合っていく「体質」との戦いです。

アレルギーのない人に誤解を招かないで、付き合ってもらう方法を見つけなければと思っています。20年近くたった今も、思いつけていません。一生の課題だなと思っています。