アトピーはつらいけれど、アトピーだけなら死に至る病ではない

私がアトピーと診断されてから１５年近くになります。
子供がある程度大きくなってからのことだったので、私のアトピーの病歴は、「年齢＝アトピーの病歴」の長男よりも三男よりも短く、自分のことを私もアトピーですとは言いにくいものがあります。

悪化しまくっている時ならいざ知らず、小康状態の方が長いので、これで「アトピーです」というにはいかにもおこがましいと思っています。

周りが残酷にストレートな幼児期

子供は、悪気がない生き物ではなく、それなりに悪意も作為も持っている生き物だと思います。ストレートに人に接するため、乳幼児期にアトピーが悪化している子供が保育園なり幼稚園なりの集団生活を過ごす場合、ある程度の子供同士の悪意や作為にさらされることに耐える必要が出てきます。

長男も三男も私には何も言いませんでしたが、汚いとか伝染るとか、言われることもあったように思います。

我が家の子供たちは内気なタイプではなかったので、「病気の人にそんなこと言う人は悪い奴だ」くらいのことは言い返せましたが、言い返せない子供の方が多いように思います。
また、全部が全部に言い返せるわけでもなく、「これくらい」と思うことがたくさんあったのではないだろうかと思います。

我が家の場合は子供が「保育園に行きたくない」と言わなかったことから、子供なりに耐えられないと思うような悪意にも作為にも合わないで済んだのでしょう。
とても運がよかったように思います。

思春期には本当につらい

思春期、自分の存在意義がわからなくなったりする頃、アトピーが悪化していたらそれは深い悩みになってしまうのではないでしょうか。

治らないもどかしさ、ままならぬ自分に、歯がゆい思いは募るのかと思います。こんな時に悪意や作為にさらされると、死にたくなる気持ちもよくわかります。

アトピーでつらいうえに、いじめにもあって、本当に死にたいと何度も思った人もいるかと思いますが、そんな人が死なないでいてくれたら、本当に嬉しいと思います。
つらい中にも生きてくれたことが嬉しいと思います。無責任だと思われるかもしれませんが、生きていてくれて、本当にありがとうと言いたいです。

自分の息子たちが、何もトラブルなく高校を卒業していけたとはさらさら思いませんが、学校に行きたくないと言わないでくれたことは、本当にありがたいですね。誰も死なずに先に進んでくれたことを、悩んで不登校になることもなく大きくなってくれてよかったです。

本当につらければ、学校にどうしても行けないなら、行かなくてもいい、死を選ぶより、ずっとずっといいと思っていましたが、幸い、「行かなくていいよ」と言わずに済みました。
つらいことはたくさんあるかもしれないけれど、アトピーだけでは死に至ることはないから、どうかどうか、死を選んだりせずに生きて欲しいと思います。

アトピーでも人生を楽しんで悪いことなどない

アトピーだからって、おしゃれを楽しんではいけないという法律はありません。
アトピーだからって人生を明るく楽しんでいけないという決まりもありません。

食べない方がいいもの、しない方がいいもの、着ない方がいいものはたくさんあるかもしれませんが、人生を楽しむすべはそんなことでは制限されはしないのではないでしょうか。

世の中には、長く生きていきたくても、それが許されない病気がたくさんあります。
アトピーはあれこれ生活に制限があるし、見た目は悪いかもしれませんが、死に至る病ではありません。

治らないかもしれませんが、低め安定でコントロールできる病気です。
つらい、治したい、何とかしたいと思うことを一番にもっていかずに、別の楽しいことを探して、アトピーは長い付き合いのまあ困ったちょとしたハンデと思って深く考えないのが最良ではないでしょうか。

アトピーは自分の個性の一つと思いたい

アトピーはないに越したことはない、いらない持病の一つですが、自分の持つ個性の一つととらえられたらと思います。

肌がすべすべではないかもしれないけれど、それもまた個性の一つではないでしょうか。
アトピーがものすごくひどくても、体中どこにもすべすべゾーンがないほどひどい状態が生まれたときからずっと続いている人がいるとは思えません。

顔だけは何とかしたいと思いつつも、うまくいかないでいると本当につらいのです。
私も顔が本当に悪いときはどこにも行きたくないと思い、こんな時にアトピーを個性ととらえるのはきれいごとだと思います。

でも、ずっと悪いばかりではないので、顔の肌状態が上向いているときは、アトピーも個性の一つととらえられます。

いつもいつも最悪の状態ばかりが続いたりはしないので、いいときだけでもそれは個性の一つだととらえて、その状態をなるべく長く維持するように気を付けつつも、アトピーなど忘れてしまって楽しめること、打ち込めることをいくつになっても探し続けたいと思います。